【連載: 漫画『ONE PIECE』ワンピースで学ぶ世界史】第195話 "Mr. 武士道"から考える"武士道"の世界史〜源平、中国禅宗、山鹿素行から新渡戸稲造まで〜
この連載は無料公開されている『ONE PIECE公式漫画アプリ』から中学校社会科の歴史、高校世界史や日本史、そして現代世界情勢への興味・関心を引き出していくプロジェクトです。第195話に登場するエピソードから"武士道"について関心を広げます。
[次子5歳年次作: 鉄を切るゾロ ]
■武士道とは?
第195話では"Mr. 武士道"という題名があります。セリフで武士道が出てくるわけではないですが、武士道を感じさせる場面が出てきます。
ゾロ「背は…向けねェ!!!」
あくまで個人的な見解ですが、この辺に武士道精神を表しているのではないかと思いまして調べてみることにしました。そもそも武士道っていつからあるの?
というわけで今回のテーマは"武士道"です。
■武士道とは?
まずは概要、定義からいきましょう。
Wikipediaでは以下見つかりました。
武士道(ぶしどう)とは、日本の近世以降の封建社会における武士階級の倫理・道徳規範及び価値基準の根本をなす、体系化された思想一般をさし、広義には日本独自の常識的な考え方を指す。
ただし明確な定義は無く、時代のほか、身分や地域によってもその解釈は大きく異なる[1]。また理想化された美学・宗教的な側面もあり、その実像とは大きく異なる場合がある[注釈 1]。
日本の近世以降に体系化されてきたようです。もう少し歴史を見てみましょう。
■ 武士道の歴史とは?
武士と言えば源平ですね。
武士道に通ずる考えは、武士(平安時代以降)の行動の規範意識に基づき、鎌倉時代に本格的に発達した。すなわち武力を持つ者は鍛錬・行使・身の処し方などを徹底すべきであり、独りよがりや私事へ存念するような見苦しいものではあってはならないとする日本独自の規範意識を指す。
「独りよがりであってはならない」との考えは、次第に、その他者の対象はより普遍へ向かった(民衆・生き物・学問・芸術・世の中の伝統などに対して)。一方、武士は命をかけて組織へ殉ずることが近世には美化されていった。
ではその武士の行動規範の背景は何だったのでしょうか?調べてみると以下の記載がありまさかま。
鎌倉時代、日本において武家政権が本格的に始動し、武士の地位が確立する。また時を同じくして、禅宗が中国からもたらされ、武士階級に大きな影響を与える。ここで「弓馬の道」(兵〈つわもの〉の道)と呼ばれる、武士道の起源とも言うべき生活規範が成立した(これは、西洋における騎士道が成立した時期と重なる)。
なんと中国の禅宗が影響していたようです。
■もともとは勝てば良い?
なかなか興味深いところですが、背中を見せないどころか、勝てば良い的な考えがもともとはあったようです。
「武士道」という言葉が日本で最初に記された書物は、江戸時代初期に成立し、原本が武田家臣春日虎綱(高坂昌信)の口述記とされる『甲陽軍鑑』である。
ここでの武士道は、個人的な戦闘者の生存術としての武士道であり、武名を高めることにより自己および一族郎党の発展を有利にすることを主眼に置いている。
「武士たるもの七度主君を変えねば武士とは言えぬ」という藤堂高虎の遺した家訓に表れているように、自己を高く評価してくれる主君を探して浪人することも肯定している。
また、「武者は犬ともいへ、畜生ともいへ、勝つことが本にて候」という朝倉宗滴の言葉に象徴されるように、卑怯の謗りを受けてでも戦いに勝つことこそが肝要であるという冷厳な哲学をも内包しているのが特徴である。
■江戸時代に思想化
それが後に美しいところが抽出されていったようですね。
江戸時代の元和年間(1615年 - 1624年)以降になると、儒教の朱子学の道徳でこの価値観を説明しようとする新たに士道の概念が確立された。これによって初めて、儒教的な倫理(「仁義」「忠孝」など)が、武士に要求される規範とされるようになったとされる。
一方、朱子学に疑問を持つ山鹿素行は「常の勝敗は現在なり」「諌めても改めぬ主君なら臣から去るべし」[4]など「二君に仕えず」という朱子学を完全否定する思想を説き、山鹿流古学が提唱した士道論は、この後多くの思想家にも影響を与えることになる[5][注釈 2]。
■国民道徳に利用された武士道
これが明治以降に新たな解釈が加わっていくわけですね。
明治維新後、四民平等布告により、社会制度的な家制度が解体され、武士は事実上滅び去った。実際、明治15年(1882年)の「軍人勅諭」では、武士道ではなく「忠節」を以って天皇に仕えることとされた。ところが、日清戦争以降評価されるようになる。例えば井上哲次郎に代表される国家主義者たちは武士道を日本民族の道徳、国民道徳と同一視しようとした。
新渡戸はキリスト教徒の多いアメリカの現実(人種差別など)に衝撃を受け、同時にキリスト者の倫理観の高さに感銘を受けた。新渡戸は近代において人間が陥りやすい根っこにある個人主義に対して、封建時代の武士は(封建)社会全体への義務を負う存在として己を認識していたことを指摘している。無論これは新渡戸の考えである。
新渡戸稲造による武士道は西洋に向けて説明するのには良いプレゼンだったように思います。高校時代に読んだような。
以上、今回のテーマは武士道でした。
・筆者のお薦め参考書
聴き流しで歴史を学べるボカロシリーズ(幼稚園生からパパ&ママまで幅広くオススメ)
■参考文献①今回のテーマを深掘り
本文に挿入しました。
・筆者ベストチョイス①
■あとがき
また時間が経ってしまいました。怒涛の追い上げ頑張ります、と言いつつ更新できていませんでした。あー!ワンピースの映画RED見たいです。なかなか時間がない。
ご覧いただきありがとうございました!受験勉強や教養の向上に活用いただければ幸いです。
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