この連載は無料公開されている『ONE PIECE公式漫画アプリ』から中学校社会科の歴史、高校世界史や日本史、そして現代世界情勢への興味・関心を引き出していくプロジェクトです。第134話に登場するエピソードから"抗生物質"について関心を広げます。
[次子5歳年次作: くれはに治療された少年]
■Dr.くれはが子どもを治療
第134話ではくれはが痛みに苦しむ子どもの治療をします。
くれは「熱はないようだが 足の患部の腫れは化膿性の炎症 イっちまってるね 骨にバイ菌が入ったんだ チョッパー 抗生物質を!!!」
このあたりは本筋には関係ないとは言え、くれはの人柄が分かる良いシーンですね。
ナミの壊血病の知識にしても、フランキーのビームにしてもワンピースの世界における科学技術はとても高いですよね。
今回はくれはが使用した「抗生物質」に引っかかりまして、そもそも何なんだろ?いつからあるんだっけ?誰が発明したんだろう?ということで調べてみることにしました。
というわけで今回のテーマは"抗生物質"です。
■抗生物質とは?
まずは概要、定義からいきましょう。
Wikipediaにはこうありました。
抗生物質(こうせいぶっしつ、英語: antibiotics)とは、微生物が産生し、ほかの微生物の発育を阻害する物質と定義される。
広義には、微生物が産生したものを化学修飾したり人工的に合成した抗菌薬、腫瘍細胞のような微生物以外の細胞の増殖や機能を阻害する物質を含めることもある[1]。
また、抗生物質の作用を利用した薬剤を指して抗生剤と呼ばれることもある。
ふむふむ、分かったような分からないような。
微生物をやっつけるものですかね。
■抗生物質研究と始まり
さてこの抗生物質ですがいつからあるのでしょうか。
抗生物質とは言わないまでも微生物に対する研究自体は紀元前から始まっていたようです。カビを特定していたあたりもすごいですね。
20世紀以前の世界において、感染症の治療は専ら伝統医学によって行われるものであった。
抗菌性を持つ物質を利用した治療の記録は紀元前からすでに存在している[82]。
■近代における微生物に対する研究
微生物に対する研究は近代で大きく進んだようです。
抗生物質の発見の前に微生物が他の微生物の増殖を抑制する現象は知られていた。
例えば、1887年にはルイ・パスツールらが炭疽菌を他の好気性細菌と一緒に培養すると増殖が抑制される現象を発見している。
また、1889年には Jean Paul Vuilleminが「ある生物が生存のために他の生物を殺す関係性」を抗生 (antibiosis) と定義している[90]。
1890年代には緑膿菌の抽出物が多くの患者に対して使用した報告がなされており、抗生物質の臨床応用に関するおそらく世界初の報告とも言われる[87]。
■そしてペニシリンの発見へ
抗生物質というといまいちイメージ湧かないですが、ペニシリンって聞いたことありますね。
近代的な抗生物質の歴史はサルバルサンを開発したポール・エーリッヒと、ペニシリンを発見したアレクサンダー・フレミングの2人と結びつけられることが多く[86]、まずは色素に由来する合成抗菌薬が発見された[91][92][93]。
エーリッヒらは当時重大な副作用の代償にわずかな効果しか得られない無機水銀塩によって治療されていた梅毒の治療薬を開発するため、秦佐八郎らと共に今日で言うところの化合物スクリーニングを1904年に開始した。
彼らが1909年に試験した606番目の化合物は、梅毒に罹患したウサギに有効性を示し、後にヘキスト社によってサルバルサンとして販売される。
梅毒の研究を通じて抗生物質に日本人も関係していたのですね。
1928年9月3日のフレミングによるペニシリンの発見は一つの失敗を機に成されたものであり、セレンディピティとしても知られる[86][97]。
フレミングは休日を終えて当時の職場であるセント・メアリーズ病院に出勤し、実験台で培養していたペトリ皿のブドウ球菌にカビがコンタミがしていることに気づく。
この時、フレミングはコンタミしたカビが周囲の細菌の増殖を抑制している様子を観察し、この増殖抑制がアオカビの産生する物質によるものであることと、その物質をペニシリンと名付けたことを論文として投稿した[97][98]。
その後オックスフォード大学のハワード・フローリーとエルンスト・ボリス・チェーンらの研究により大量生産が可能になると、フローリーらはペニシリンの臨床試験を1941年から1942年にかけて実施する。
この臨床試験でペニシリンはなんら副作用を示さずに絶大な効果を発揮した。
ペニシリンは第二次世界大戦後には広く使われる様になり、1945年にはフレミング、フローリー、チェーンの3名がペニシリンの発見とその後の研究によってノーベル生理学・医学賞を受賞している[97]。
■1950年から1970年代に黄金期を迎える抗生物質研究
1950年からなので第二次世界大戦後に研究が黄金期を迎えるのですね。本当に最近なんですね、抗生物質って。
サルバルサン、プロントジル、ペニシリンの3つの抗菌薬の発見はその後の抗菌薬の開発研究に大きな影響を与え、1950年代から1970年代にかけて抗生物質研究は黄金期を迎える[86]。
1930年代の終わりにはセルマン・ワクスマンが抗生物質の探索を開始する[87]。
1940年代に抗生物質を定義したワクスマンは[5][99]、結核に有効なネオマイシンやストレプトマイシンなど多数の抗生物質を発見し[87]、その貢献に対して1952年にはノーベル生理学・医学賞が授与された[100]。
この時代の抗生物質の発見は土壌のスクリーニングを行って有用な微生物を発見することによって成し遂げられた。
そのため、この時代の製薬会社は世界中から土壌試料を集めて回っている。
そう考えるとDr.くれはの知識は20世紀級ってことですね。
というわけで今回のテーマ"抗生物質"に関心を広げてみました。
■参考文献①今回のテーマを深掘り
本文に挿入しました。
・筆者ベストチョイス①
聴き流しで歴史を学べるボカロシリーズ(幼稚園生からパパ&ママまで幅広くオススメ)
■あとがき
なんとか週一継続中です。
コツコツやっていきます。
ペニシリンていうと『ロマンス』、マサルさんとか思い出しますけどね。笑
ご覧いただきありがとうございました!受験勉強や教養の向上に活用いただければ幸いです。
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