歴史人物の子孫を育てる雑草パパ新聞

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【連載: 漫画『ONE PIECE』ワンピースで学ぶ世界史】第3話 「ロロノア・ゾロ」から連想されるカリブの海賊「フランシス・ロロノア」と17世紀のカリブ海

この連載は無料公開されている『ONE PIECE公式漫画アプリ』から中学校社会科の歴史、高校世界史や日本史への興味・関心を引き出していくプロジェクトです。今回は第3話に登場するロロノア・ゾロからフランシス・ロロノア、そして17世紀のカリブ海中南米について興味を広げます。

■事実は小説より奇なり ゾロより遥かに恐ろしいフランシス・ロロノア

第3話の冒頭、ルフィとコビーの間の会話でこう始まります。

「魔獣ねーっ」
「そうですよ ルフィさん。ロロノア・ゾロは〝海賊狩りのゾロ”という異名をもつ恐ろしい奴です。血に飢えた野犬のように賞金首をかぎまわり、海をさすらう男だと。人の姿をかりた〝魔獣”だと人は言います」

実際にロロノア・ゾロがどんな人物であったかは皆さんご存知の通り、魔獣どころか優しやと男気溢れる頼もしい剣士さんでした。

史実にもロロノアという海賊がいるようです。Wikipediaにはこうあります。

1660年代に活躍したカリブ海の海賊(バッカニア)(1635年 - 1667年[1])。本名はジャン=ダヴィード・ノー(Jean-David Nau)。「ロロネー (l'Olonnais)」は、出身地のフランス西部のレ・サーブル=ドロンヌ (les Sables-d'Olonne) に由来する「オローヌ者」と言うほどの意味の通り名である。

資料によってはロロノワ[2]/ロロノア[1][3](L'Olonnois, Lolonois)、ロロナ(Lolona)、また英語風に「フランシス・ロロノア」[1]と表記する場合もある。

最下層の貧民の家に生まれたロロネーは、1650年代にカリブ海西インド諸島に、年季奉公人として送られた。やがて年季から解放され晴れて自由の身になると、様々な島を渡り歩き、いつしかカリブ沿岸のスペイン植民地を荒らしてまわる海賊団に加わった。
フランソワ・ロロネー - Wikipedia

■実力はまさに七武海級!軍艦を返り討ちにするカリブ海のロロノア

年季奉公人から海賊の一味となったロロノアですが、海賊船が難破した際にスペイン軍の攻撃にあい、ほとんどの乗組員は殺されてしまいます。この経験がスペインへの深い憎しみとなり、その後自ら海賊団の頭領となってスペインに対する猛烈な強さを発揮します。Wikipediaはこう続きます。

ハバナの総督はロロネーの一味を撃退するため軍艦を送ったが、ロロネーは逆にその艦を制圧し、1人を除き乗員を皆殺しにした[4]。

自身の討伐のために送られた軍艦を逆に制圧するとなると、もはや七武海レベルですね。ワンピースの世界でも軍艦一隻相手にするのは至難の技と表現されますが、史実でやってのけたのがこのロロノアとのことで恐るべき強さです。

■「太陽の沈まぬ国」スペインをカリブ海で沈めまくったロロノア

ジブラルタルベネズエラ)の町を襲撃したロロネー一味は、500人のスペイン駐屯軍を全滅させ、町を制圧した[5]。

この頃のスペインというとロロノア誕生1635年の少し前、1556年にフェリペ2世が即位し、1571年のレパントの海戦でトルコ海軍を打ち破り、1580年にポルトガル王統が絶えるとその領土を継承し、かの有名な「太陽の沈まぬ国」を実現します。
しかしその後1588年に無敵艦隊(invincible Armada)がエリザベス1世が王位している英国の海軍に破れてしまい、大西洋の制海権を失います。

そして1618年から1648年はヨーロッパでスペインも介入する国際的な宗教戦争である三十年戦争が起こります。

つまりロロノアが海賊として活動し出した1650年から1667年となると、スペインの国力や大西洋の制海権は低下しており、カリブ海での影響力も低下していたのかもしれません。この沈まぬ太陽だったスペインが沈んでいくところをカリブ海においてガンガン踏み潰していった猛者がロロノアだったようです。

■まさに”魔獣”。ヒトの心臓を喰らうロロノア。

極めつけはこちらです。

ロロネーは、スペイン人から「ロロネーに出くわすほどなら死んだ方がまし」と恐れられた。

ロロネーは非常に残忍で冷酷であり、捕虜にした敵は一人も生かさず全員を殺し、住民には虐殺、拷問、強姦など残虐行為の限りを尽くした。スペイン人を憎悪するあまり、自ら捕虜のスペイン兵の胸を切り裂き、心臓を引きだして食べたという[6]。しかし、彼も彼の部下も、トルトゥーガ島では気前良く金をばら撒く人気者だった。

ここまで来ると狂気に満ちていますが、それほど駆け出しの海賊時代を踏みにじったスペインを憎んでいたのでしょう。若干伝説めいて尾鰭背鰭が付いていないかとも思われますが、彼の最期や世界人権宣言なんて無かった当時の世界であればこれくらいの行為はあったことでしょう。

気前よく金をばら撒いて島民から人気だった、というエピソードは立場によっては義賊にも映る話で正に海賊らしいですね。

■”魔獣”ロロノアは最期も壮絶

ここまでで既に壮絶な人生ですが、死際も壮絶です。

1668年、ロロネーの一団はニカラグア沿岸のプエルト・カベロという港町を襲撃したが守備隊に撃退された。その帰途で彼の船はパナマ沿岸の浅瀬で座礁し、食料を探しに内陸に入ったロロネーは人食いの風習のある原住民に捕まり、生きたまま手足を切り取られて火あぶりにされ、生涯を終えた[7]。

「生きたまま手足を切り取られて火あぶりにされ」って、この”原住民”たちがロロノア以上に魔獣なところが当時のカリブ海の荒れ具合を描写していて、現在の常識を遥かに超えている世界観だったことが分かります。
ここまで来るとこの生涯を一体誰が書き伝えたのか?従軍記者ならぬ従賊記者でもいたのか?と疑問が尽きませんが、関心を持たれた方は是非調べてください。
17世紀のカリブ海、面白すぎます。

■それでは17世紀の日本は?

御馴染みのコーナーですが、Wikipediaによると以下の通りです。

日本では16世紀末の関ヶ原の戦いで勝利した徳川家康による江戸幕府が開かれ、第2代将軍秀忠の頃になると鎖国政策がとられるようになった。この政策は約240年に渡り続くことになる。
17世紀 - Wikipedia

魔獣ロロノアさんが生きた17世紀で中学歴史や高校日本史で学ぶ歴史人物や有名人は以下です。せっかくなので勉強しましょう。
徳川家康徳川秀忠徳川家光
高山右近
・ヤンヨーステン
俵屋宗達
伊達政宗
→ ちなみにワンピースのゾロは新世界編で独眼竜になりますが、その本家こと伊達政宗カリブ海のロロノア誕生の1635年に亡くなっていました。生まれ変わりでしょうか。日本で独眼竜伊達政宗が亡くなって、同年にカリブ海でロロノアが生まれ、そしてロロノア・ゾロが新世界で独眼竜となって活躍するって勝手にロマンを感じてしまいます。さて、話を戻します。
柳生宗矩
宮本武蔵
豊臣秀頼
・ウィリアムアダムス
真田幸村
由井正雪
菱川師宣
天草四郎
三井高利
徳川光圀(1628年生まれ)
→この辺りから1635年生まれのロロノアさんと同年代になります。
徳川家綱 第4代将軍
関孝和
井原西鶴
松尾芭蕉
徳川綱吉

以上です。同年代は文化系が多いですね。少し前の伊達政宗真田幸村宮本武蔵(武蔵がいるなら佐々木小次郎も)、柳生宗矩、このあたりに猛者が揃っているので魔獣ロロノアが海で鉢合わせて決闘してたらどうなっていたでしょうね。バガボンドの世界観の宮本武蔵も結構魔獣な時期もありますね。いい勝負かもしれません。

関心を持たれた方はどんどん調べてみてください。

■参考文献①今回のテーマを深掘り


■参考文献②筆者の基本セット
・『ONE PIECE公式漫画アプリ』
・教科書、用語集、人物辞典他

■おまけ


【次子作 ゾロ】

■あとがき

ご覧いただきありがとうございました!
その他関連シリーズもぜひご覧ください。
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