歴史人物の子孫を育てる雑草パパ新聞

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【連載: 漫画『ONE PIECE』ワンピースで学ぶ世界史】第23話 ウソップとイソップ

この連載は無料公開されている『ONE PIECE公式漫画アプリ』から中学校社会科の歴史、高校世界史や日本史、そして現代世界情勢への興味・関心を引き出していくプロジェクトです。第23話『キャプテン・ウソップ登場』からイソップ寓話について関心を広げます。

[長子作: キャプテンウソップ]

■ 「海賊が来たぞー!」海賊少年とオオカミ少年

いよいよウソップの登場です。

ウソップ「みんな大変だーーーーーっ!!!海賊が攻めてきたぞーーーっ!!!」
村人A「何!?海賊だと!!?」
村人B「お!ウソップが騒いでる そろそろ仕事の時間だな」
村人C「よくやるな あいつも」
ウソップ「ウソだーっ!!!!わっはっはっはっはっはっはっはっは!!!」

このシーンで多くの方が思い出すのが「オオカミ少年」のお話です。
Wikipediaにはこうあります。

狼と羊飼い
「嘘をつく子供」(うそをつくこども)とは、イソップ寓話のひとつ。「羊飼いと狼」または「オオカミ少年」というタイトルの場合もある。

羊飼いの少年が、退屈しのぎに「狼が来た!」と嘘をついて騒ぎを起こす。だまされた大人たちは武器を持って出てくるが、徒労に終わる。少年が繰り返し同じ嘘をついたので、本当に狼が現れた時には大人たちは信用せず、誰も助けに来なかった。そして村の羊は全て狼に食べられてしまった。

嘘をつく子供 - Wikipedia

世界にはイソップ寓話の他にもアンデルセン童話、グリム童話などの様々なお話がありますね。
このオオカミ少年こと「嘘をつく子供」はイソップ寓話の1つです。
そしてウソップと似た音のイソップとは紀元前6世紀にいたとされる人の名前のようです。

■イソップさんは奴隷だった!?

全く知りませんでしたが、イソップさんは奴隷だったようです。
オオカミ少年のお話がスイスの高原やアルプスの少女ハイジの世界観とつながってしまうので
勝手に最近の話のように感じることもありますが、ものすごく古い正に昔話でした。

アイソーポス(古代ギリシャ語: Αἴσωπος、Aísōpos、紀元前619年 - 紀元前564年ごろ)は、古代ギリシアの寓話作家。
奴隷だったと伝えられる。
日本では英語読みのイソップ (Æsop, Aesop [ˈiːsɒp]) という名でイソップ寓話の作者として知られる。

当時の記録がなく、半ば伝説の人物と言われることもあるが、実在したのは確からしい。
ヘロドトスの『歴史』2.134 に、歴史上の人物として名が出てくるのが、アイソーポスに関する最初の記述である。

一般に伝えられる話では、元はサモスの市民イアドモンの奴隷だったが、語りに長けており、解放されたという。
その後は寓話の語り手として各地を巡ることになる。
しかし、それを妬まれデルポイの市民に殺されたとされる。

彼にまつわる有名な逸話に、主人の旅行の荷物持ちをした時のエピソードがある。
かさばる為に他の奴隷達が持つのを嫌がった食料を進んで持ち、旅の終わりには他の奴隷達が疲れ果てながら荷物を運ぶ傍らで、中身が減って軽くなった袋を口笛を吹きながら運んでいたと言われる。

▪️紀元前7世紀は初代天皇の時代

このイソップさんがいたとされる紀元前7世紀を調べてみたら、なんと初代天皇が即位されたのと同じ時代でした。
日本で初代天皇が即位されて41年後、イソップさんがギリシアに誕生して様々な話を語っていたというのはなんとも不思議なものです。

紀元前660年
初代神武天皇即位、日本建国。辛酉年、春正月、庚辰の朔日の日、天皇橿原宮にあまつひつぎしろしめし、天皇の元年とす(『日本書紀』)。

神武天皇。『日本書紀』『古事記』の神武東征の記録によると日向高千穂から出立し瀬戸内海を経て大和に入り、橿原宮で即位し初代の天皇になったとされる。画像は月岡芳年『大日本名将鑑』の金の鵄(とび)を従えて敵を圧倒する神武天皇
紀元前7世紀 - Wikipedia

▪️改めて知るイソップ寓話の多様性

子育てで教訓を学ばせるのに役立つので昔話はよく活用しますが、こんなにも多くのお話がイソップ寓話だとは知りませんでした。
なんならウサギとカメなんて日本の昔話かと思っていましたが、これもまたイソップ寓話だったのですね。

主なイソップ寓話
アリとキリギリス(アリとセミ、アリとセンチコガネ)
蟻と蛹
ありとはと
田舎のネズミと町のネズミ
犬と肉
ウサギとカメ
嘘をつく子供
馬をうらやんだろば
泉のほとりの牡鹿とライオン
王様の耳はロバの耳
雄鶏と宝石
ガチョウと黄金の卵
からすときつね
カラスと水差し
狩人と樵
北風と太陽
狐と鶴のご馳走
虚飾で彩られたカラス
金の斧(金の斧と銀の斧)
金のライオンを見つけた男
熊と旅人
3本の棒
獅子の分け前
すっぱい葡萄
ずるい狐
ネズミの相談
ねずみの恩がえし
農夫とその子どもたち
ハチとヘビ
バッタを捕まえる少年とサソリ
卑怯なコウモリ(蝙蝠と鼬)
フクロウと鳥たち
ライオンとキツネとシカ
ろばを売りに行く親子
若い泥棒とそのお母さん
わしとからす
エチオピア人を白く洗う
イソップ寓話 - Wikipedia

全てがイソップさんが作成したわけではなく、色々と混在してはいるようです。
それでも今でも教訓となるお話がたくさんあるので、根本的に人間が注意しないといけないものって変わらないのかなと思いますね。
北風と太陽とか、アリとキリギリスなんて、本当に教訓が詰まったお話だと思います。

多くの寓話を残したが、現在伝わっている「イソップ寓話」すべてがアイソーポスの創作ではない。それ以前から伝えられていた寓話、後に創作された寓話があとからイソップ寓話とされたりしたほか、アイソーポスの出身地(恐らく、小アジアのどこかだろうといわれている)の民話を基にしたものも多数含まれているとされる。

▪️高校/大学受験の時に古文に出てきた『伊曾保物語』

思い出してみれば受験勉強していた時にイソップ寓話は古文の問題としても出てきていましたね。
1549(いごよく)広まるキリスト教、なんて語呂もありますが、イソップ寓話も同じ時期に日本に伝来されたのですね。

日本では、1593年(文禄2年)に『イソポのハブラス (ESOPO NO FABVLAS)』として紹介されたのが始まりで、これはイエズス会の宣教師がラテン語から翻訳したものと考えられており、天草にあったコレジオ(イエズス会の学校)で印刷されたローマ字のものである。

非常に古くに日本に取り入れられた西洋の書物といえる。
その後江戸時代初期から『伊曾保物語』として各種出版され、普及し、その過程で「兎と亀」などのように日本の昔話へと変化するものもあらわれた。

内容は現在のイソップ寓話集と異なる話も収録されており、さらに宣教師向けの『イソポのハブラス (ESOPO NO FABVLAS)』と、読み物としての『伊曾保物語』の間にも相違が見られる(16世紀末の日本における宣教師の出版についてはキリシタン版を参照)。

明治になってから英語からの翻訳が進み、幕臣出身の学者で沼津兵学校校長だった渡部温の『通俗伊蘇普物語』(現在、東洋文庫にて入手可能[1])がベストセラーとなり、修身教科書にも取り入れられた事から、広く親しまれるようになった。

というわけでイソップさんに名前がそっくりなウソップさんが、オオカミ少年のように海賊がきたぞーと嘘をついてこれからワンピースで大活躍するウソップさんの物語が始まっていきますね。

■参考文献①今回のテーマを深掘り

■参考文献②筆者の基本セット

・『ONE PIECE公式漫画アプリ』
・教科書、用語集、人物辞典他

■あとがき

ウソップって尾田先生もイソップを参考にしたのでしょうかね。

ご覧いただきありがとうございました!
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