この連載は無料公開されている『ONE PIECE公式漫画アプリ』から中学校社会科の歴史、高校世界史や日本史、そして現代世界情勢への興味・関心を引き出していくプロジェクトです。第115話に登場する"リバースマウンテンの磁力"から"磁性"の歴史について関心を広げます。
過去分はこちらです。
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[長子7歳年次作: ビビ]
■リバースマウンテンの磁力
第115話では次の島に向かってルフィ一行が航海を進めますが、その中でリバースマウンテンの磁力について説明します。
ルフィ「なァ!!雪はまた降らねェのかなー!!」
ビビ「降らないこともないけど 一本目のあの海は特別なのよ リヴァースマウンテンから出る7本の磁力が全てを狂わせていたから」
考えてみればこの磁力って何なのでしょうね。
誰が磁力を見つけて、科学的に立証したのかなぁと。
磁力と電気の関係もありますし、こういう目に見えない力を見つけた人ってすごいですよね。
というわけで今回のテーマは"磁力/磁性"です。
■"磁力/磁性"とは何か?
まずは概要、定義からいきましょう。
Wikipediaにはこうありました。
磁力(じりょく)とは、磁石や電流が発生させる磁場により、磁石や電流が流れている導体どうし、あるいはそれらと強磁性体の間に発生する力である。同種の磁極の間には退け合う力が、異種の磁極では引き合う力が働く。この力のことを磁力、または磁気力(じきりょく)という。
磁力だとあまり歴史についての言及がなかったので、もう一つ調べて分かったのが、"磁性"という言葉があることです。
物理学において、磁性(じせい、英: magnetism)とは、物質が原子あるいは原子よりも小さいレベルで磁場に反応する性質であり、他の物質に対して引力や斥力を及ぼす性質の一つである。磁気(じき)とも言う。
■"磁性"は誰が見つけたのか?
調べてみるとなんとまたアリストテレスが登場します。でも見つけたのは別の人でした。
アリストテレスによれば、世界最古の磁性に関する科学的議論をしたのはタレス(紀元前625年-545年)だという[1]。同じころ古代インドでは医師ススルタが磁石を手術に利用している[2]。
タレースとも言われますね。
タレス(タレース、古希: Θαλής、羅: Thalēs、紀元前624年頃 - 紀元前546年頃)は、古代ギリシアの哲学者。タレスの定理の生みの親である。ミレトスのタレス(古希: Θαλής ὁ Μιλήσιος)とも呼ばれる。出生地トルコ(ミレトス)死亡地トルコ(ミレトス)
概要 編集
タレスは、ソクラテス以前の哲学者の一人で、西洋哲学において、古代ギリシアの記録に残る最古の(自然)哲学者であり、イオニアに発したミレトス学派の始祖である。また、ギリシャ七賢人の一人とされる。
タレス - Wikipedia
最古の自然哲学者とは偉人登場ですね。
彼が「最初の哲学者」とよばれる由縁は、それまでは神話的説明がなされていたこの世界の起源について、合理的説明をはじめて試みた人だという点にある。すなわち彼は万物の根源(アルケー)を「水」(ὕδωρ、hydōr)と考え、存在する全てのものがそれから生成し、それへと消滅していくものだと考えた。そして大地は水の上に浮かんでいるとした。世界は水からなり、そして水に帰るという説を唱えたのだった。
もう一つ、この方は数学の教科書にも登場するそうでして以下ありました。
一般の人によく知られているのは哲学よりも、中学校の数学の教科書に必ず出てくるターレスの定理であろう。
これは「半円に内接する角は直角である」という定理である。
タレス自身が円周上の点と円の中心を結び、2つの二等辺三角形を作ってこの定理を証明したために、この名前がついたという。ちなみに「ターレスの定理」とよばれるものは5つある。
磁性に関してどのような議論がなされたのかは分かりませんが、水に数学に科学的な分析をされたのですね。
■アジアではどうか?
古代中国では、紀元前4世紀の『鬼谷子』に「磁石は鉄をひきつける」という磁性に関する記述がある[3]。
紀元20年から100年の間に書かれた『論衡』には「磁石が針をひきつける」という記述がある[4]。11世紀中国の科学者沈括 (1031–1095) は『夢渓筆談』で方位磁針について記述している。
ちゃんとアジアでも紀元前4世紀に磁性を見つけた人がいました。
『鬼谷子』(きこくし)は、諸子百家の一つで、中国の戦国時代に鬼谷(鬼谷子)によって書かれたとされる書。遊説の方法について書かれている。
概要 編集
鬼谷は陳(楚の地)の人であるが、斉の稷下の学士であったかどうかは不明であり、専門といえば国際外交のような謀略である。学問というよりは、術のようなものに属していた。
鬼谷子 - Wikipedia
そしてもう一人、沈括が再登場ですね。
沈括は以前取り上げましたね。
【連載: 漫画『ONE PIECE』ワンピースで学ぶ世界史】第105話 ラフテルを目指せ!『記録指針』ログポースから考える羅針盤の世界史〜中国北宋時代の沈括、大航海時代、そして16世紀英国ウィリアム・ギルバートまで〜 - 歴史人物の子孫を育てるパパ新聞
■磁性の航海への応用
紀元前からの発見が後に航海への応用へつながっていくのですね。
1187年、アレクサンダー・ネッカムはヨーロッパで初めて方位磁針とその航海への応用を記述した。
1269年、ペトルス・ペレグリヌスが書いた『磁気書簡』(Epistola de magnete) は、磁石の性質について記した現存する最古の論文である。
ヨーロッパとイスラム世界両方から記載されていて良いですね。
科学の発展はヨーロッパだけでないということです。
■地球自体が磁性をもっている
いよいよワンピースでも表現される地球自体が磁性をもっていることが1600年に発表されます。
徳川幕府が始まる少し前ですね。
1600年、ウィリアム・ギルバートが De Magnete, Magneticisque Corporibus, et de Magno Magnete Tellure(磁石及び磁性体ならびに大磁石としての地球の生理)を出版。
その中で地球をモデル化した terrella を使った様々な実験結果を示している。
そういった実験により、彼は地球自体が磁性を持っていて、それによって地磁気が発生して方位磁針が北を指すのだと結論付けた。
それまでヨーロッパでは、方位磁針を引き付けているのは北極星(ポラリス)だという説や北極にある巨大な磁石でできた島だという説が信じられていた。
■電気と磁気の関係解明、そしてアインシュタイン相対性理論へ
磁性と相対性理論は関係があったのですね。
時間を超える能力者が出てきたら相対性理論も取り上げますかね。
電気と磁気の関係の解明は1819年、コペンハーゲン大学の教授だったハンス・クリスティアン・エルステッドが電流によって方位磁針が影響を受けることを発見したのが始まりである。
その後、アンドレ=マリ・アンペール、カール・フリードリヒ・ガウス、マイケル・ファラデーといった人々が実験を行い、電気と磁気の関係をさらに明らかにしていった。
ジェームズ・クラーク・マクスウェルはそれまでの知見をマクスウェルの方程式にまとめ、電気と磁気と光学を一分野にまとめた電磁気学を生み出すことになった。
というわけで今回のテーマ"磁性"に関心を広げてみました。
■参考文献①今回のテーマを深掘り
文中にリンクを貼り付けてみました。
・筆者ベストチョイス①
聴き流しで歴史を学べるボカロシリーズ(幼稚園生からパパ&ママまで幅広くオススメ)
■あとがき
なかなか面白いかったですが、じっくりあとがきを描く時間もないので今日はここまで。
【次子5歳年次作: ビビ】
ご覧いただきありがとうございました!受験勉強や教養の向上に活用いただければ幸いです。
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