歴史人物の子孫を育てる雑草パパ新聞

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【連載: 漫画『ONE PIECE』ワンピースで学ぶ世界史】第96話 海軍は"絶対的正義" ?そもそも『正義』って何?〜正義にまつわる4つの分類〜

この連載は無料公開されている『ONE PIECE公式漫画アプリ』から中学校社会科の歴史、高校世界史や日本史、そして現代世界情勢への興味・関心を引き出していくプロジェクトです。第96話に登場する"正義"について関心を広げます。

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[長子6歳年次作:檄を飛ばす海軍幹部]

■海兵たちへ檄を飛ばす海軍本部

前回に続き第96話ではいよいよ海軍本部が登場しますが、そして幹部から海兵たちへの演説シーンでこのようなセリフがあります。

海軍幹部「強靭な悪が海にあるならば 我々海軍がそれを全力で駆逐せねばならんのだ‼︎!ま」

さて、この『正義』という言葉ですが、いったい何なのでしょうか。考えてみるとなかなか答えの出しにくいもので、なかなか興味深いテーマです。少し前にハーバード白熱教室で『正義』がテーマになっていたこともありましたね。

というわけで今回のテーマは"正義"です。

■"正義"とは何か?

まずは概要、定義からいきましょう。
Wikipediaにはこうあります。

正義(せいぎ、英: justice、仏: justice、独: Gerechtigkeit、羅: jūstitia、希: δικαιοσύνη)は、明治以降「義」に代わって使用され[1]、倫理、合理性、法律、自然法、宗教、公正などに基づく道徳的な正しさ[要出典]に関する概念である。

正義の実質的な内容を探究する学問分野は正義論と呼ばれる。

広義すなわち日本語の日常的な意味においては、道理に適った正しいこと全般を意味する。以下では、もっぱら西洋における概念(すなわちjusticeないしそれに類似する言葉で示されるもの)を記述する。 
東洋のそれについては義のページを参照。

正義 - Wikipedia

"道徳的な正しさ"といわれるとまた曖昧な感じがしますが、みなさんはどうでしょうか。

前回の"平和"に対して"平和学''という学問領域があるように、"正義"には"正義論"という学問領域があるようですね。

■"正義"の分類

筆者も今回初めて知りましたが、正義には分類があるようです。

報復的正義(retributive justice)とは、適法に証明された犯罪に対する適切な対応を定め、それによって刑罰が正しく課されそして道徳的に正しいとみなされるところのものである。 

同害報復(タリオの法、羅: lex talionis[2])すなわち「目には目を、歯には歯を」もこの報復的正義の一態様として考察されうる。

出ました、『ハンムラビ法典』ですね。
やられたらやり返す、半沢直樹は歴史的な正義論なわけですね。しかし、倍返しにして良いか?は正義論的には反するかもしれません。

修復的正義(restorative justice)とは、もっぱら刑事政策上の概念であり、加害者が被害者との対話などを通じて自己の行為を反省し、また被害者もそれを通じて自己の受けた被害を納得がいくまで考察するというプロセスを意味する。

その他の関係者が参加することもある。歴史的に見れば比較的新しい種類の正義概念である。

確かに早稲田で刑事政策、といった科目を受講していた際にもこういったテーマがあったような気がします。果たして死刑は必要なのか?という問いを考えたような気がします。
半沢直樹では「詫びろ詫びろ詫びろ詫びろー!!!」ってとこですかね。

配分的正義(distributive justice)とは、各人に各人のものを配分すること、すなわち、各人がそれぞれ持つべきものを実際に持つように働きかけることである。

ちょっと分かりづらいのでこちらも引用。

配分的正義の特徴は、各人が何らかの事物に対する自己の相応しさに応じてそれを比例的に持つことを目標とする点にある。

頑張ったら頑張った分だけ報われる、頑張るだと曖昧ですけど、アウトプットだしたらそのアウトプット比較で配分されるということですね。

そして最後がこちら。

匡正的正義とは、一旦破壊されたあるべき状態を回復すること、すなわち、各人が持っているべきものを奪われたとき、あるいは、各人が持つべきでないものを持っているときに、それを返還したり放棄したりするように働きかけることである。

そもそも読めます?「きょうせい」と読みます。確かに盗んだものは同額返しましょう、ズルはダメよ、という感じですね。

■世界史と"正義"

正義について論じた偉人は多々いらっしゃるかと思いますが、Wikipediaではこの方々でした。
まずはプラトン

プラトンは、ソクラテス以前の自然哲学が抱いていた関心を離れて、人間および人間社会の正しさというものを体系的に論じた人物である。彼の正義概念は『国家』においてソクラテスの口を借りて論じられており、彼によれば正義とは、個人あるいは共同体の中で調和が完成されていることに他ならない。

そして弟子のアリストテレス

アリストテレスは、正義という概念をまず広義における正義と狭義における正義とに区別して、広義における正義とは徳全般の別称であるとした。他方で、狭義の正義概念については、さらにこれを2つに区別した。

狭義における第一の正義概念は、配分的正義と呼ばれ、「各人に各人のものを」という後世において格言となったものである。

ソクラテスプラトンアリストテレスは何かと登場しますよね。

そして最後にこちら。

一方、正義のない状態では社会秩序が保たれないとの危惧から、1971年にアメリカの哲学者ロールズは「正義論」を著し、相対主義下での正義を再構築しようと試み、カントやロック、ルソーなどの社会契約論に回帰する「公正としての正義」を主張した。

「公正としての正義」
第一原理、各人には基本的自由に対する平等の権利があること。
第二原理、社会的・経済的不平等は最も恵まれない人の利益を最大化するときにのみ許され(格差原理)、いかなる職務や地位につく可能性も全ての人に開かれていること(公正な機会均等の原理)

カント、ロック、ルソー、この方々もやはり現代社会を考える上では欠かせない考えを提唱されたわけですね。

というわけで今回のテーマ"正義"に関心を広げてみました。

■参考文献①今回のテーマを深掘り

■参考文献②筆者の基本セット

・『ONE PIECE公式漫画アプリ』
ONE PIECE公式漫画アプリ

・教科書、用語集、人物辞典他

・筆者ベストチョイス①

聴き流しで歴史を学べるボカロシリーズ(幼稚園生からパパ&ママまで幅広くオススメ)

・筆者ベストチョイス②

カードゲームで覚える年号『タイムライン』シリーズと同じくカードゲームで覚える偉人『ソクラテスラ』

■あとがき

調べてみると正義にも4つの分類があったわけですが、ワンピースの海軍が掲げる"絶対的正義"は何なのでしょうね。

調べてみるとまあ正義は立場によって加害者にも被害者もひっくり返るわけですが、このワンピース海軍の場合は"絶対的"というのがついてしまっているので、何をやっても「自分たちが正しい」、「自分たちが正義」となるわけですね。

これで勘違いして理不尽に暴力をはたらいたり、または意図して贈賄に手を染めるような輩が出てきてしまうわけですね。
自ら"正義"を主張する際は一方的な立場になっていないか要注意ですね。

ご覧いただきありがとうございました!受験勉強や教養の向上に活用いただければ幸いです。
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