歴史人物の子孫を育てる雑草パパ新聞

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【連載: 漫画『ONE PIECE』ワンピースで学ぶ世界史】第69〜95話 アーロンの"種族主義"から考える"人種主義"の歴史〜ヘレネス/バルバロイからマニフェスト・デスティニー、そしてトルーマン原爆投下の決断〜

この連載は無料公開されている『ONE PIECE公式漫画アプリ』から中学校社会科の歴史、高校世界史や日本史、そして現代世界情勢への興味・関心を引き出していくプロジェクトです。第69〜95話に登場するアーロンの"種族主義"発言から"人種主義"、"民族主義"について関心を広げます。

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[次子4歳作: ノジコの話を聞いて驚くウソップ]

■種族主義を掲げるアーロン

第71話ではアーロンがゲンゾウを追い詰めていく一方、隠れているウソップとノジコがアーロンの支配について話します。

ウソップ「ひでぇ…‼︎!た…たった一人のために…‼︎ あのデカイ町が…‼︎?
ノジコ「それがアーロンの支配…"種族主義"のあいつらは人間を殺すことを何とも思っちゃいない」

"種族主義"という言葉が世界史に出てくるわけではありませんが、この言葉からは人種主義や民族主義というキーワードが連想されます。
というわけで今回のテーマは"⚪︎⚪︎主義"です。

■種族とは?人種とは?民族とは?

まずは概要、定義からいきましょう。
Wikipediaにはこうあります。

まずはアーロンの言う種族です。

種族(しゅぞく)とは共通の特徴を持った生物の集団を指す通俗的な用語。
生物学では「種」、人類の集団に対しては人種、民族などを用いる。

生物の種 -種 (分類学)を参照。
人類の種族 -人種、民族、部族、氏族、家系、親族を参照。
言語の種族 -語族を参照。
星の種族
ファンタジーに登場する架空の種族については、種族 (ファンタジー)を参照。
種族 - Wikipedia

アーロンはヒトに対して魚人という種族単位での優位性、そして魚人が至高の種族であるという思想を持っているわけですね。

次は人種です。

人種(じんしゅ)とは、

現生人類を骨格・皮膚・毛髪などの遺伝的・形質的特徴によって区分した人の自然的な集団を指す[1]。

生物学的な区分としてコーカソイド(白人)・モンゴロイド(黄人)・ニグロイド(黒人)、オーストラロイド(オーストラリア先住民)などがあるが、近年は人種主義的であるとの批判もあり、それへの反論も提出されるなど議論が続いている(後述)。

英語 raceの日本語訳語でもある。

この場合の「種」は生物学的な種(species)とは異なるが、日本語では同じ漢字表記なので留意する必要がある[2]。

また1844年頃に成立したとされる『随筆百草』には「亜伊能(アイヌ)人種」という用例がある[1]。
人種 - Wikipedia

ということで反論や係争中ではあるものの生物学的な分類で用いられるようです。
そして最後に民族を見てみましょう。

民族(みんぞく、英: ethnic group, ethnicity)とは一定の文化的特徴を基準として他と区別される共同体をいう。

土地、血縁関係、言語の共有(母語)や、宗教、伝承、社会組織などがその基準となるが、普遍的な客観的基準を設けても概念内容と一致しない場合が多いことから、むしろある民族概念への帰属意識という主観的基準が客観的基準であるとされることもある[1]。


また、日本語の民族の語には、近代国民国家の成立と密接な関係を有する政治的共同体の色の濃い nation の概念と、政治的共同体の形成や、集合的な主体をなしているという意識の有無とはかかわりなく、同一の文化習俗を有する集団として認識される ethnic groupの概念の双方が十分区別されずに共存しているため、その使用においては一定の注意を要する。 

本項ではethnic groupについて記す。(nationについては国民を参照。)

民族 - Wikipedia

こちらは文化的な共通点をもって区別される集団のようです。

■"主義"とは?

では主義とは何でしょうか? 

主義(しゅぎ)は、人、団体や政府が主張や行動の指針にする原則や思想である。

概要 編集

「主義」は中国の史記にも出現するほど古い言葉であり、「信じている一定の主張」を意味した。明治前期に英語「principle」の訳語として定着し、その後英語「-ism」の訳語としても使われるようになった。「principle」を「主義」と訳したのは福地源一郎(福地桜痴)だとする説もある。
主義 - Wikipedia

主義ってそんなに古い言葉だったんですね。
ということで、アーロンの種族主義を考えると種族集団の優位性や至高性を信じている主張なわけですね。

■人種主義とは?

概要にはこうあります。

人種主義(じんしゅしゅぎ、英語: racism、レイシズム[注釈 1])とは、人種間に根本的な優劣の差異があり、優等人種が劣等人種を支配するのは当然であるという思想、イデオロギー[3]。

人種主義は、身体的差異と考えられるものに結びついている点でエスノセントリズムとは異なる[4]。
人種主義 - Wikipedia

定義の項目ではこうあります

人種主義と訳されるレイシズムは語源的には「人種」(英語: race)を語意とするものであるが、現在では単に人種のみを対象とした言葉であるとは見なさない見解も多い。[要出典]

ギセラ・ボック(英語版)は一定の人間集団を、より価値があると見なされた集団の基準によって劣等と分類し、それに基づく扱いを行うことであると見なしている[5]。

『人種主義の歴史』を著したカリン・プリースター(ドイツ語版)は、近代以降の時代において、前近代的構造やヒエラルキーを維持するため、社会的関係を生物学化することで正当化しようとしたものであるとし、欧米における人種主義の開始を1492年のスペインからのユダヤ人追放であるとしている[6]。

これらは人種概念がしばしば「国民」や「民族」と混同されていることにも現れている[7]。

一定の人間集団を、より価値があると見なされた集団の基準によって劣等と分類し、それに基づく扱いを行うこと」という点がこの思想の危険性ですね。

本人の努力や後天的に獲得した知識や教養、技術など関係なく、その人種かそうでないかで階級を決められてしまう、優遇や待遇が決められてしまうわけです。

■人種主義の歴史

Wikipediaにも同様の項目がありました。確かに世界史の教科書にも出てくる用語ですね。

人間の集団間に差異にがあるという思想は、古代ギリシャの人々が、自らをヘレネス、他民族をバルバロイと呼んで蔑視していた事例など古くから、洋の東西を問わずに存在している。

しかし人種という概念自体が歴史的に普遍的なものであるか、近代の西洋において発生したものであるかということについては議論があり、現在では後者が優勢となっている[6]。

近代の西洋で発生したのかどうかは議論があるとして、その思想が高まっていったその先に"人種主義の理論化"という動きがあったようです。

白人種の優秀性を唱える思想は、19世紀における帝国主義植民地主義の正当化と容易に結びつき、その思想的支柱となった。

アフリカにおいては、「文明程度の劣った植民地に近代文明を伝えることが先進諸国の責務である」といった思想の元に現地住民への一方的な支配や文化の押しつけ、現地資源の開発などが正当化された[13]。

この思想はイギリスでは「白人の責務」、フランスでは「文明化の使命」、アメリカでは「マニフェスト・デスティニー」(明白な天命)などと呼ばれていた[14]。一方で、支配された有色人種が白人と対等になれるとは全く考えられていなかった。

上記のような非白人へのヨーロッパ文明の「教化」の動きは、現地住民とのさまざまな齟齬や西洋化の遅れによって変質していき、ヨーロッパ人の文明的な「優越性」を現地住民が完全に理解し同化することは不可能であるとする人種差別的な認識が普遍的なものとなった[15]。


こうした白人種の優秀性を唱える思想はヨーロッパに広がり、20世紀初頭にはほとんど自明のこととされていた[7]。

これには古代から西洋人に受け継がれてきた価値観や、当時台頭してきた進化論の影響が見られる[7]。

ソビエト連邦ヨシフ・スターリンポーランド人やアジア人に対して行った政策、ハリー・S・トルーマンが下した広島市長崎市への原爆投下の決断[16]、、青年トルコ党によるアルメニア人虐殺にも自民族を優位と見なす人種主義があったという指摘がなされている[17]。

また、ドナルド・J・ムロージェクによると、第二次世界大戦期、国民的発展を図ることは危険なほど人種的優越性の神話を育成することに近いものとなっており、西洋における反日感情はその典型であるが、中国人や朝鮮人、ついには西洋民主主義諸国に対する優越に関し日本人が持っていた信念は同様のものである、という[17][18]。

原爆投下の判断に人種主義が影響していたという指摘はちょっと考えさせられますね。確かに戦時下は敵国民を非人間化(de-humanization)させて罪悪感をなくして兵隊に戦わせるのが指導部の戦略なのですが、そこに人種主義というのか組み合わされるのかもしれません。
欧米はyellow monkeyと蔑称し、日本は日本で鬼畜米英と蔑称していたわけです。辛い時代です。

Wikipediaではヨーロッパの情報がたくさんありますが最後にチクッと日本人についても書かれてますね。でも当時の日本人、全般というよりも政府首脳部や日本軍なのではないかと思いますが、彼らが思想としてもっていた優越感は人種というより民族主義的なイメージがあります。
となると民族主義を調べる必要があるのですが、お腹いっぱいなのでまた今度にしましょう。


というわけで今回のテーマ"種族主義"から"人種主義"に関心を広げてみました。

■参考文献①今回のテーマを深掘り

■参考文献②筆者の基本セット

・『ONE PIECE公式漫画アプリ』
ONE PIECE公式漫画アプリ

・教科書、用語集、人物辞典他

・筆者ベストチョイス①

聴き流しで歴史を学べるボカロシリーズ(幼稚園生からパパ&ママまで幅広くオススメ)

・筆者ベストチョイス②

カードゲームで覚える年号『タイムライン』シリーズと同じくカードゲームで覚える偉人『ソクラテスラ』

■あとがき

相変わらずなかなか話が進みません。
でも本当に魚人編は社会風刺的な人類の歴史を考えさせられるテーマが多々あります。

確かにコロナ対策でも日本人は民度が高いから、とかJapan miracleとか言われると誇らしく思うところはあるんじゃないかと思うし、自然なのかなぁと思いますが、それが人種とか民族とか集団の優位性と、また反対にそうでないものへの蔑視が生まれると歴史の繰り返しということになるのですかね。

歴史は繰り返す、という言葉もありますが、少し間違えると自身も含めて人種主義的思想の影響を受けてしまったり、そういった行動や発言をしていないかと注意が必要だなぁと思います。

ご覧いただきありがとうございました!受験勉強や教養の向上に活用いただければ幸いです。
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