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【連載: 漫画『ONE PIECE』ワンピースで学ぶ世界史】第69〜95話 ネズミ大佐登場!"賄賂"の始まりは"徴税制度"?古代エジプトからローマ、インド・マウリア朝、中国・欧州・イスラム世界の徴税の歴史

この連載は無料公開されている『ONE PIECE公式漫画アプリ』から中学校社会科の歴史、高校世界史や日本史、そして現代世界情勢への興味・関心を引き出していくプロジェクトです。第69〜95話に登場する"ネズミ大佐"から賄賂と徴税制度の歴史について関心を広げます。

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[長子作: 海軍第16支部 大佐ネズミ]

■海軍大佐に金を渡す海賊"アーロン"

第69話ではアーロンパークでアーロンが海軍大佐ネズミに金を渡すシーンが出てきます。

アーロン「さァこれが今月の分、収めてくれ」
ネズミ「チチチチ…きみは実に世渡りがうまい…いつも悪いね…」
アーロン「シャハハハ‼︎何を今さら‼︎水くせェ‼︎いい世の中っては金がうまくめぐるもんさ‼︎」

これってなんのお金なんでしょうね。この街を支配することを海軍支部に黙認させる口止め料でしょうかね。

モーガンは単なる個人的なレベルの独裁者でしたが、このあたりになると海軍が組織だって不正義の一翼を担っている面が描写されていきます。

さてこの公権力にお金を渡す行為ですが、一般的に賄賂、贈賄と言われます。
現代ビジネスマンもこの贈賄罪は日々注意しないといけないテーマですが、どんな歴史があるのか調べてみましょう。

■賄賂とは?

まずは概要、定義からいきましょう。
Wikipediaにはこうあります。

賄賂(わいろ)、または賂(まいない)とは、主権者の代理として公権力を執行する為政者や官吏が、権力執行の裁量に情実をさしはさんでもらうことを期待する他者から、法や道徳に反する形で受ける財やサービスのこと。

賄賂を受け取ることを「収賄」、贈ることを「贈賄」、両方の行為を合わせて「贈収賄」と呼ぶ。

賄賂 - Wikipedia

というわけで「権力執行の裁量に情実をさしはさんでもらう」という点において、本来なら海軍は海賊行為を取り締まらないといけないにもかかわらず、その執行の裁量に情実をさしはさんで黙認しているのがネズミとアーロンのやりとりなわけですね。

■賄賂はいつから始まった?古くは『日本書紀』にも記載あり

さてこの賄賂ですが、世界史的はいつから始めたのでしょうね。

賄賂は、権力機構の成立に付随して出現する。

歴史上、法で明確化された徴税機構が機能している際には賄賂は違法とされるが、法制上の徴税機構が存在しないか機能不全に陥った際には、貢租と賄賂の区別が不明確になる。

官職売買なども、主権者の定める法制によって公認された行為であれば賄賂とはされない。


また、近代以前の日本では、礼銭と賄賂の区別は明確ではなく、裁判などで礼銭名目で官吏に賄賂を贈って有利を得ようとする行為は、当時の常識的範囲内のものであれば賄賂とは考えられず、官吏側から見れば役得として考えられていた。

なので、こうした礼銭の遣り取りは当時の社会通念に照らせば、私的な行為に公的権力(お上)の手を煩わせた事に対する「当然払うべき謝礼」と考えられていた。

確かに徴税機構の成立如何で区別するのは興味深いですね。公務員は税を給与として生活しているので、税以外にお金を渡して何かしてもらったら賄賂ということですね。

日本ではどうかというと、日本書紀の時代に遡るようです。

歴史的には『日本書紀』に賄賂に関する記事が7例見られ、表記としては、「貨賂」「賂」と記して、「まいない」と読ませている(武光誠古事記日本書紀を知る事典』 東京堂出版 p.294)。

その最初の記事は、継体天皇6年(512年)12月条であり(前同 p.294)、百済の使者が任那の4県を得るために倭人に送ったとされる。

んまぁー古くから賄賂は行われてるんですね。

■徴税制度の歴史

というわけでこの賄賂とつながりの深い徴税制度について調べてみましょう。
まずは言葉の定義からいきましょう。

租税(そぜい、英: tax)とは、国や地方公共団体(政府等)が、法令の定めに基づいて国民や企業等の主体に負担を強制する金銭である。現代社会ではほとんどの国が物納や労働ではなく通貨(お金)による金銭納付を採用しており、日本では税金(ぜいきん)と呼ばれている。

税制(ぜいせい)は、歳入(財政)の根幹及び政治経済(経世済民)そのものである。商売や契約・取引等の行為及び所得や有形無形の財産などに対して税を賦課することを課税(かぜい)、課税された税を納めることを納税(のうぜい)、徴収することを徴税(ちょうぜい)、それらについての事務を税務(ぜいむ)という。政府の財政状況において租税徴収額を減額することを減税、逆に増額することを増税(ぞうぜい)という。
租税 - Wikipedia

調べていて思い出しましたが、大学受験の世界史では王朝とその時代の徴税制度を結びつける問題が多かったですね。

古代の徴税制度についての記載はこちら。

古代エジプトパピルス文書に当時の農民に対する厳しい搾取と免税特権をもつ神官・書記に関する記述がある。

古代インドのマウリヤ朝では、農民に対し収穫高の四分の一程度を賦課し、強制労働も行われていた。

ローマ帝国の税制の基本は簡潔であり、属州民にのみ課される収入の10%に当たる属州税(10分の1税)、ローマ市民と属州民双方に課される商品の売買ごとに掛けられる2%の売上税(50分の1税)、ローマ市民にのみ課される遺産相続税や解放奴隷税などであった。3世紀のアントニヌス勅令以降は国庫収入が減少し、軍団編成費用などを賄うための臨時課税が行われることもあった。マルクス・ユニウス・ブルートゥスは属州の長官に赴任したとき、住民に10年分の税の前払いを要求した。

ちなみに大学受験の時に苦労したのが中国王朝と徴税制度の結びつけ。

中国
古代中国の漢の主要財源は、算賦(人頭税及び財産税)、田租、徭役(労働の提供)であった。

北魏において均田制が成立したのち、これに基づいて北周租庸調の税制をはじめ、唐でもこの税法を当初は引き継いだ。

しかし玄宗期に入ると土地の集積が進み均田制が崩壊し、土地の存在が前提であった租庸調制も同時に崩壊したため、780年には徳宗の宰相楊炎によって両税法が導入された。
これは税の簡素化と実情に合わせた変更によって税収を回復させる試みであり、以後明にいたるまで歴代王朝はこの税法を維持し続けた。

しかし明代に入ると再び税制の実情とのかい離が起こり、税制は複雑化したため、16世紀末の万暦帝期において、宰相張居正が税を丁税(人頭税)と地税にまとめて銀で一括納入させる一条鞭法を導入した。

清代に入ると、丁銀を地銀に繰り込んで一本化した地丁銀制が導入された。

続いてヨーロッパです。たまに問題集でありますけど、こういったテーマ史は勉強になりますね。教科書どうしても大きな流れを記載しているので、テーマ史は自分の頭で流れをつかむ必要がありますね。

ヨーロッパ 編集
中世ヨーロッパでは封建制が採られ、土地を支配する封建領主は土地を耕作する農民から貢納を得て生活していた。

貢納のほか、領主直営地における賦役農耕も重要な税のひとつであった。
その代り、領主は統治者として領民を外敵から守る役割を果たしていた。
領主の主収入は地代であったが、私的収入と公的収入が同一となっており、しばしば戦費調達のために臨時収入が課された。

その後、領主は戦争や武器の改良、傭兵の台頭によって財政難に陥り、相続税・死亡税の新設や地代を上げる。

しかし、それでも賄いきれなくなった領主は特権収入に頼るようになる。

そして最後にイスラム世界です。
このテーマ奥が深く、今後のワンピースでもキーワードが出てきそうなので今回はこの辺までにしておきます。

イスラム 編集
イスラームを国教とするいくつかの王朝では、ズィンミー(異教徒。

キリスト教徒・ユダヤ教徒など)に対してジズヤ(人頭税)の徴収が行われた。
この方式は7世紀のウマイヤ朝を起源としている。

正統カリフ時代には税制はいまだ未整備であったが、ウマイヤ朝期に入るアラブ人以外のイスラム教徒(マワーリー)および異教徒からジズヤとハラージュ(土地税)の双方を徴収することとなった。

しかしこの方式はマワーリーからの大きな反発を招き、アッバース革命を招くこととなった。

こうして成立したアッバース朝はマワーリーからジズヤの納入義務を撤廃し、またアラブ人のイスラム教徒であってもハラージュの納入を義務付けた。

こうして成立したジズヤ(異教徒への人頭税)とハラージュ(全国民対象の土地税)の二本立ての税制は、イスラーム諸王朝の基本税制となって広まっていった。

税制度で革命が起こるわけで、やはり徴税制度というのは歴史的に重要なテーマですね。
確かに現代社会においても消費税や法人税など政治家の皆さんが大いに議論されるテーマの一つに税制度がありますね。
その時々の社会にとってどんな税制度が適切なのか、我々市民の生活に直結する大事なテーマですね。

さて、賄賂に話を戻します。

■国によっては賄賂は死刑⁉︎レベルが違う中国の賄賂事情

現代社会ではもちろん賄賂はダメなのですが、その罰則は国によって異なり、ケースによっては死刑もあるようです。
Wikipediaを読んでいくと中国の事例がありました。

中華人民共和国では、公務員を始め、商談の場や医療を受ける際などで、賄賂が盛んに行われている[2]。

2005年には、発覚したものだけで一ヶ月当たり約29億円(うち23%が国家公務員のもの)という調査もある[2]。



公務員の賄賂に対しての処罰は厳しく、2007年にも賄賂を受け取った高官が死刑に処されている
賄賂 - Wikipedia

死刑とは恐ろしい…。
賄賂はいけませんね。
ズルはいかんですね。

■なぜ贈賄が起こるのか?

中国では以下の記載がありました。
日本社会との比較で書かれていて興味深いですね。

日本の代官は農民からウズラの卵を持ち帰る程度だったが、清朝の官僚達は何かにつけて莫大な賄賂を得ていて、この社会的差異は、日本の武家が4 - 5人程度の小家族単位で暮らし、役職も世襲の永代雇用で、小さな出世くらいしかできない社会だったことに対し、中国や韓国では宗族=一族といった大規模家族単位の中で生き、役人になるためには、科挙に合格しなければならず、その過程で宗族を挙げて経済援助し、出世させるが、それで大臣クラスに昇進したとしても一代限りであるため、在任中に稼げるだけ稼ぎ、投資した宗族に還元したことによるとする。

この宗族は大地主など地域の商業活動と結びついていたため、これが役人の腐敗につながり、その社会体質(国家役職を一族のビジネスとすること)から現代でも脱し切れていないとする(磯田道史 『日本史の探偵手帳』 文春文庫 2019年 pp.14 - 16)。

ちなみに日本でも時代劇で賄賂のシーンが出てきます。「越後屋、お主も悪よのぉ…」というのがベタなセリフでありますが、半沢直樹の世界でも巧みな贈賄が出てきますね。

TV時代劇において、代官が賄賂を受け取るイメージが作られているが、実際には代官の下僚である手代の方が賄賂を受け取ることがあり、その原因として、薄給であり、保証の無い不安定な身分であるため、自分が働ける内に家族のために不正金銀を貯えようとしたためと『よしの冊子』に実情が記されている(西沢敦男 『代官の日常生活 江戸の中間管理職』 角川ソフィア文庫 2015年 p.245)。

というわけで今回のテーマは賄賂と徴税制度でした。

■参考文献①今回のテーマを深掘り

■参考文献②筆者の基本セット

・『ONE PIECE公式漫画アプリ』
ONE PIECE公式漫画アプリ

・教科書、用語集、人物辞典他


・筆者ベストチョイス 聴き流しで歴史を学べるボカロシリーズ(幼稚園生からパパ&ママまで幅広くオススメ)

■あとがき

ネズミ大佐なんてちょい役なので簡単に終わらそうかと思いましたが、彼の賄賂を受け取る行為が今回の徴税制度に広がることで予想外に深いテーマになりました。
歴史は結局その土地は誰のものかを追うものだという説明がありますが、その土地をどう管理図のかが徴税制度と結びついて、現代社会にもつながる重要なテーマでした。

ネズミ大佐ってこの後出てくるんでしたっけ?ルフィたちが鬼ヶ島で討ち入りをしている今もイーストブルーのどこかで小銭を稼いでいるのでしょうかね。

ご覧いただきありがとうございました!受験勉強や教養の向上に活用いただければ幸いです。
その他関連シリーズもぜひご覧ください。
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