歴史人物の子孫を育てる雑草パパ新聞

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【連載: 漫画『ONE PIECE』ワンピースで学ぶ世界史】第43〜68話 鬼の正体はまさかの海賊⁉︎"鬼人"のギンから考える鬼の起源とその歴史、『古事記』『日本書紀』から『鬼滅の刃』まで!

この連載は無料公開されている『ONE PIECE公式漫画アプリ』から中学校社会科の歴史、高校世界史や日本史、そして現代世界情勢への興味・関心を引き出していくプロジェクトです。第43〜68話に登場する"鬼人"のギンから鬼の歴史、正体について関心を広げます。

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[長子作:サンジを追い詰める"鬼人"ギン]

■海賊艦隊戦闘総隊長"鬼人"ギン

第60〜61話ではサンジとギンの戦いが本格化します。
サンジに一撃を加えられて狼狽る船員に対し、クリークはギンについて語ります。

クリーク「ギンは俺が見込んだ冷徹な"鬼人"だ だからこそ総隊長の座を与えた・・・すぐに本性を見せるさ・・・」
船員「そ・・・それもそうだ・・・あの人は敵が泣こうがわめこうが容赦なくなぶり殺す 情のかけらもねェ "鬼人"なんだ・・・‼︎」

序盤のキャラで"鬼"がつくのはやはりそれなりの強さを感じさせますよね。

後々カマバッカ王国で新世界でも通用する力を手に入れるサンジですが、この時点でもそれなりの実力だったはずです。そのサンジが完全に負けているので、ギンは相当の実力者でしょう。

ここで思うのは、"鬼"って何だろうという視点です。実に日本的、アジア的な存在だと思われる鬼の正体と歴史を探ってみましょう。

■あらためて"鬼"とは?

有名なところが桃太郎ですが、悪者として登場して退治されてしまいます。

個人的には元々は人間で、平凡な村人たちから見て得体の知れない生活をしている人たちや、時折襲ってくる野蛮な人たちを"鬼"と呼んで恐れたのではないかと考えていますが、調べてみると諸説あります。
Wikipediaにはこうあります。

鬼(おに、英語: demon)は一般に、日本の妖怪と考えられている、伝説上の存在。民話や郷土信仰によく登場する。

日本語では逞しい妖怪のイメージから「強い」「悪い」「怖い」「ものすごい」「大きな」といった意味の冠詞として使われる場合もある(鬼 (曖昧さ回避)も参照)。「~の鬼」といった用法も良く見られる。
鬼 - Wikipedia

昔話の影響で悪者のイメージもあるようですが、神として崇められているケースも確かにありますね。

確かに東北の生ハゲとか鬼だけど味方ですよね。あと鬼太郎も人間寄りの妖怪ですね。

鬼は、人に危害を加え、さらに人を食べてしまう存在と考えられることもあった。

地獄において閻魔王の元で亡者を責める獄卒としての鬼のイメージが現在もよく知られている。

また、定まった姿は持っていないとされた場合もあり、見目麗しい青年や美女の姿で現れて若い男や女を誘ったり、化かす相手の家族や知人に化けることができるなどとされた。

鬼は「○○童子」と名付けられる場合があった。これには「酒吞童子(しゅてんどうじ)」の名で呼ばれる大江山の鬼が最もよく知られている。


今でも、日本の山や山地には、「かつて鬼が棲んでいた」という伝説で彩られものが少なくない。


現在、「悪い物」「恐ろしい物」の代名詞として使われることの多い「鬼」という語であるが、例えば、鳥取県伯耆町(旧・日野郡溝口町)では、村を守った「強い物」として鬼を崇めていたり、青森県岩木山では鬼の善行に感謝して、神社の「神」として鬼を祀っているなど、これらのほかにも日本の各地には鬼を善的に捉え、また、畏敬の念で見ている例が少なくない。

節分の豆まきに見られるように、鬼が厄災をもたらすとする信仰も根強いが、まったく逆に、鬼が悪霊を追い払い、人に幸福をもたらしてくれる存在と考えている例も少なからず見られる[1]。

地獄というと仏教の影響ですし、豆まきだと中国の影響を感じさせますね。

女神転生系のゲームをやってると"⚪︎⚪︎童子"はなんとなく馴染みがあります。


■歴史上の"鬼"、いつから生まれた?

さて、この鬼ですが、歴史的にはいつから登場するのでしょうか。Wikipediaの説明を引用しておきます。

「鬼(キ)」という漢字の原義は「死者の魂」である。馬場によれば、元々は死霊を意味する中国の鬼が6世紀後半に日本に入り、日本に固有で古来の「オニ」と重なって鬼になったという。

ここでいう「オニ」とは祖霊であり地霊であり、「目一つ」の姿で現されており、隻眼という神の印を帯びた神の眷属と捉える見方や、「一つ目」を山神の姿とする説(五来重)もある。

いずれにせよ、一つ目の鬼は死霊というより民族的な神の姿を彷彿とさせる。

また、日本書紀にはまつろわぬ「邪しき神」を「邪しき鬼もの」としており、得体の知れぬ「カミ」や「モノ」が鬼として観念されている。

説話の「人を食う凶暴な鬼」のイメージは「カミ」、「モノ」から仏教の獄鬼、怪獣、妖怪など想像上の変形から影響を受けて成立していったと言える。平安の都人が闇に感じていた恐怖がどのようなものかが窺える[3]。

 
日本書紀が出てきましたね。
日本国の歴史と共に鬼の歴史ありですね。

もう一つ、鬼伝説で有名なのは"大江山"との記載もありましたので調べたところ、こちらは古事記に由来するようです。

大江山には3つの鬼退治伝説が残されている。一つは、古事記に記された、崇神天皇の弟の日子坐王(彦坐王)が土蜘蛛陸耳御笠(くぐみみのみかさ)を退治したという話。

二つめは聖徳太子の弟の麻呂子親王当麻皇子)が英胡、軽足、土熊を討ったという話、三つめが源頼光頼光四天王が活躍したことで知られる、有名な酒呑童子伝説である。
酒呑童子#妖怪としての酒呑童子を参照の事。 これは能の演目『大江山』(五番目物の鬼退治物)にもなっている。

これらの伝説にちなみ、大江山山麓にあった廃鉱となった銅鉱山跡に1993年(平成5年)大江町(現在は福知山市の一部)によって日本の鬼の交流博物館が作られた。


なお、酒呑童子の本拠とした「大江山」は、この丹後の大江山であったという説のほかに、京都市西京区にある山城国丹波国の境、山陰道に面した大枝山(おおえやま)という説もある。
大江山 - Wikipedia

■『古事記』と『日本書紀』について

筆者は日本史は得意では無いのですが、受験や教科書にもキーワードとして出てきますね。この二つはしっかり押さえておきましょう。

まずは古事記です。

古事記こじき、ふることふみ、ふることぶみ)は、一般に現存する日本最古の歴史書であるとされる[1]。

その序によれば、和銅5年(712年)に太安万侶が編纂し、元明天皇に献上された。

上・中・下の3巻。

内容は天地開闢 (日本神話)から推古天皇の記事を記述する。


8年後の養老4年(720年)に編纂された『日本書紀』とともに神代から上古までを記した史書として、近現代においては記紀と総称されることもあるが、『古事記』が出雲神話を重視するなど両書の内容には差異もある[2]。
古事記 - Wikipedia

続いて日本書紀です。

日本書紀』(にほんしょき)は、奈良時代に成立した日本の歴史書

養老4年(720年)に完成したと伝わる。日本に伝存する最古の正史で、六国史の第一にあたる。神代から持統天皇の時代までを扱い、漢文・編年体で記述されている。

全30巻。系図1巻が付属したが失われた[1]。同じく奈良時代に編纂されたとされる『古事記』と共に、日本のみならず東アジアの古代史、文学史言語学における重要史料の一つであり、両者合わせて「記紀」と呼ばれる。

もうこのあたりはワンピースの「失われた100年」とか、ポーネグリフとかを思い起こさせる世界観ですね。

ちなみに最古の歴史書、最古の正史とありますが、みなさんは「正史」の意味分かりますか?
筆者は自分の理解が不安でしたので念のため調べました。

正史(せいし)とは、

1.東アジア諸国において、主に国家によって公式に編纂された王朝の歴史書のことである。中国の二十四史が代表的なものとしてあげられる。

2.その国の政府が正統と認め、対外的に主張し、また教育する自国の政治の流れ。

以下では主に1.について述べる。対義語は野史(民間で編まれた史書)。

正史(特に後述する「断代史」の形式をとる正史)は、その名から「正しい歴史」の略と考えられることがあるが、実際には事実と異なることも記載されている。

理由は、正史とは一つの王朝が滅びた後、次代の王朝に仕える人々が著すためである。現在進行形の王朝は自らに都合のいい事を書くから信用できない、という考え方からこのような方法が取られたわけだが、[要出典]このせいで最後の君主が実際以上に悪く書かれる傾向にある、といった弊害もある。

また正史をまとめるに当たり、前王朝の史官が残した記録も参考にするので、その時点で既に前王朝にとって都合の悪い所が消されていたり、粉飾されていたりする場合もあり得る。

以上のことから正史とはあくまで「王朝が正当と認めた歴史書」という程の意味であり、信頼性の高い史料であるとは言えるが、歴史事実を引き出すには歴史学の手法にのっとり厳密な史料批判を経て行う必要があることに変わりはない。

歴史は勝者によって歪められてしまうのですね。
正に「勝者だけが正義だ!!!!」(byドフラミンゴ)ですね。


■鬼の正体は?

ちょっと鬼の歴史ネタが盛り上がって脱線してしまいましたが、話を戻して鬼の正体も考えましょう。
改めてWikipediaにはこうあります。

まずは学問的に分類による考察から行きましょう。

文芸評論家の馬場あき子は5種類に分類している[3]。

1. 民俗学上の鬼で祖霊や地霊。

2. 山岳宗教系の鬼、山伏系の鬼、例:天狗。

3. 仏教系の鬼、邪鬼、夜叉、羅刹。

4. 人鬼系の鬼、盗賊や凶悪な無用者。

5. 怨恨や憤怒によって鬼に変身の変身譚系の鬼。

鬼 - Wikipedia

またもっと具体的に以下の説明もありました。

鬼の正体が何かについて幾つかの説が唱えられているが、それを大別すれば、鬼が人間の精神活動の(想像上の)産物であるというものと、鬼の原像として何らかの実体が存在したというものに分けられるであろう。

上記「鬼に関する諸説」節中にも鬼の正体説が幾つか含まれているが、以下では、鬼の原像として実体が存在したと考える説の内の、上記以外に今まで比較的良く知られて来た説について述べる。

金工師 編集
鬼の正体が金工師であるとの説がある。金工師とは古くの鉱山採掘や金属精錬、金属製品生産など、金属に関する事業に携わっていた人達である。

若尾五雄はこの鬼=金工師説の提唱者で、1981年に『鬼伝説の研究』[9]でこの説をまとめたものを発表した。

この説の中で若尾は、日本各地の鬼伝説地が同時に鉱山地でもある場合が多数あることを指摘し、また伝説中の鬼が、その話中で金工に密接に結び付いている例も少なくないことも指摘し(※実際に伝説中で金工師らしい例もあった)、鬼が金工師であったのではないかとの説を唱えた。

若尾のこの説に対しては、当時、反発や懐疑的意見もあったが[* 3]、上記書が発表された後、この説に同調する論考が増えている[10]。


白人説 編集
確かに、鬼の代表格とも言える酒呑童子は、現存最古と言われる絵巻(『大江山絵巻』、南北朝時代か)の中でも、髪は茶色で、眼も明るい色をしている。
また、体格も非常に大きい[11]。


江戸時代には既に、鬼が海外より日本に上陸した海賊ではないかという俗説があり、明治時代には、やはり俗説として鬼=ロシア人説があった[12][13]。

現代においても鬼の白人説は一部には根強く信じられている[12][13]。


一方、近年の、人類学の一分野である分子人類学の発展により、日本人の遺伝的組成が次第に調査されて来ると、それらの調査研究の一部に、日本人の中に白人系由来の遺伝子がわずかながら存在している可能性を指摘する研究が出て来ている[14][15][* 4]。

そして、その研究の一つで白人的遺伝子を持つ人が比較的多いと推測された東北地方の一部地域は、鬼やナマハゲ(鬼の姿をしている)、古代蝦夷(こだいえみし、これも鬼と呼ばれていた)の伝承を色濃く残す地域と良く一致しているとの指摘もある[16]。

但し、上記の鬼=ロシア人説は、ロシア人の歴史地理的分布と鬼の「存在した時代」を比較して、ほぼありえない。

そこで、「白人的遺伝子を持った存在」としての鬼の由来についての別の説明も、一応存在している[17]。
 「山姥」「山姥=白人説」の節も参照。

金工師は確かに言われてみれば「鬼に金棒」なんて言葉があるくらいで、繋がりはありそうですね。

そして最後に出てきた「海賊説」はまさかの俗説ですね。
ワンピースのギンが鬼人と呼ばれるのもあながち間違ってないかもしれませんね。

■『鬼滅の刃』について(20-11/14追記)

会社の同僚に勧められてようやく鬼滅の刃を見ましたが、鬼退治ではあるものの、鬼側の心理や背景を丁寧に描いていますね。

そして今回のテーマと同様に鬼はもともと人間だった、というのがキーですね。

そう考えると土蜘蛛陸耳御笠(くぐみみのみかさ)を退治した崇神天皇の弟の日子坐王(彦坐王)も、英胡、軽足、土熊を討った聖徳太子の弟の麻呂子親王当麻皇子)も、酒呑童子を討った源頼光頼光四天王も、みな鬼滅隊だったということですね。

■参考文献①今回のテーマを深掘り

■参考文献②筆者の基本セット

・『ONE PIECE公式漫画アプリ』
ONE PIECE公式漫画アプリ

・教科書、用語集、人物辞典他

■あとがき

鬼を調べて日本書紀古事記に行き着くとは思いませんでした。

鬼人と呼ばれるも、心はやはり人間で優しいギンでしたね。実際に鬼と呼ばれた人たちもそんや優しい人たちもいたかもしれません。


ご覧いただきありがとうございました!
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