この連載は無料公開されている『ONE PIECE公式漫画アプリ』から中学校社会科の歴史、高校世界史や日本史、そして現代世界情勢への興味・関心を引き出していくプロジェクトです。第41話に登場するゴーイング・メリー号から大航海時代に用いられたキャラベル船、コロンブス、エンリケ航海王子について関心を広げます。
[長子作: "ゴーイング・メリー号"]
■そもそもキャラベル船って何?
クロネコ海賊団との戦いを終え、新たな航海に向かうルフィたちへカヤからプレゼントがありました。
ゾロ「へぇ…」
ナミ「キャラベル!」
ルフィ「うぉーっ」
メリー「お待ちしてましたよ。少々古い型ですが これは私がデザインしました船で
カーヴェル作り三角帆使用の船尾中央舵方式キャラベル "ゴーイング・メリー号"でございます」
確かに大航海時代にマゼランやコロンブスが乗っていた船がどんなものだったかまで考えが及びませんでしたが、産業革命や電気の実用化の遥か昔に何日もの航海に耐えた船がどんなものだったか、考えてみれば興味深いですね。
さて、まずはキャラベルとは何か見てみましょう。
Wikipediaにはこうあります。
キャラベル船あるいはカラベル船(Caravel)は、およそ3本のマストを持つ小型の帆船であり、高い操舵性を有したことなどから探検活動が盛んとなった15世紀に主にポルトガル人とスペイン人の探検家たちに愛用された。
15世紀にポルトガルの国家管理の下で開発されたが、詳しい開発経緯、時期などは明らかではない。
また、名前はポルトガル語の「オーク材(Carvalho)」に由来すると言われているが、こちらも正確なところは定かでない。
キャラベル船 - Wikipedia
やはり大航海時代に活躍した船のようですね。
■他にはどんな種類があるの?キャラックとキャラベル、キャラベルの優位性は?
ほぼ同時期に登場しているキャラック船は当時の造船技術においてひとつの技術的到達点を示したものといえるが、万能というわけではなく、必ずしもキャラック船を用いるのが適切でない場合・目的というものも一方で存在した。
当初、スペイン人やポルトガル人の探検家はキャラック船を用いて西アフリカ海岸や大西洋へと漕ぎ出していったが、キャラックのように巨大で重装備を誇る大型船は、特に航行の精度を保つという点において要する人員数においても労力の点でも負担が大きく、未知の海域での調査という目的に必ずしも向いているものではなかった。
まもなく、探検家たちは100トン前後の軽キャラックや、地中海用の軽やかなラテンセイルを備えたキャラベルのような小型帆船を好むようになる。
より小型の船を用いるようになったことで、それまでは座礁の危険が高く困難だった沿岸の浅瀬や河川を探検することが可能となった。
また、キャラックのような大西洋での航行速度に重点を置いた大きな正方形の帆ではなく、キャラベルは小回りを重視した地中海用のラテン帆を備えたため、浅瀬での活動を迅速にするとともに、風を自在につかむことをも可能とし、操舵性が極めて優れていた。
このように、キャラベルは当時の冒険家が求めた経済性、速度、操舵性、汎用性といった要素を満たしており、この時代の最も優れた帆船のひとつとしての地位を占めるに到った。
ルフィたちの航海も正に道の領域を突き進むわけですので、キャラック!というよりもキャラベル!!なのですね。
■コロンブスもエンリケ航海王子もキャラベル派♡
実際誰がキャラベルに乗っていたかというと、有名な方々の名前が出てきました。
まずはコロンブス。サンタ・マリア号は有名ですが、こちらはキャラックだったのですね。
1492年のコロンブスによるアメリカ大陸への航海に際して参加したのは、旗艦としてコロンブスが乗り込んだキャラック船サンタ・マリア号と、それに随伴したキャラベル船、ピンタ号とニーニャ号の3隻である。
サンタ・マリア号は後世でこそ名高いが、速度が遅く、航海中に2隻のキャラベルに置いていかれることもしばしばであったため、コロンブスには好かれていなかった。
そのため、同船がアメリカ沖で座礁した際にコロンブスはニーニャ号に喜んで移乗し、ヨーロッパにもキャラベル船であるニーニャ号に乗ったまま帰還した。
ちなみに筆者はあまりコロンブスが好きではないのですが、その理由は過去回での内容に基づきます。
【連載: 漫画『ONE PIECE』ワンピースで学ぶ世界史】第21話「街」海からの来訪者による被害〜コロンブスの功罪〜 - 歴史人物の子孫を育てるパパ新聞
エンリケ航海王子とキャラベルの関係はこちらです。
los primeros prototipos de carabela
最初期のキャラベル。エンリケ航海王子がヌーノ・トリスタン(スペイン語版) に与えた。
■ちなみにエンリケ航海王子って?
中学生はコロンブス、マゼラン、ヴァスコダガマあたりを学びますが、高校世界史だとエンリケ航海王子も登場しますね。
王子様なのに大冒険しまくってたのかと思いきや、ご本人は航海しなかったようです。
エンリケ航海王子(エンリケこうかいおうじ、Infante Dom Henrique、1394年3月4日 - 1460年11月13日)は、ポルトガル王国の王子であり、自らは航海しなかったが、大航海時代の初期における重要人物の1人である。
■大航海時代の幕を開いた男、エンリケ航海王子
この肩書きかっこいいですね。
大海賊時代の幕を開いた男、ゴール・D・ロジャーみたいですよね。
1394年、ポルトガルのポルトにおいて、エンリケはジョアン1世と、ランカスター公ジョン・オブ・ゴーントの娘であるフィリパとの間に生まれた。ジョアン1世の子としては第5子であり三男に当たる。
その生涯において、探検事業家、パトロンとして航海者たちを援助するとともに指導し、それまで未知の領域だったアフリカ西岸を踏破させるなどしたことで、大航海時代の幕を開いた。
1420年5月25日、エンリケはテンプル騎士団の後継であるキリスト騎士団の指導者となり、その死に到るまでその地位にあると共に、莫大な資産を保有する騎士団による援助によって、自らの探検事業の強力な資金源とした。
このため、特に1440年代までに駆け、エンリケは大西洋への進出に並々ならぬ情熱を傾けると同時に、騎士団における重責についてもおろそかにはせず、以後はキリスト教を熱烈に信奉する。
エンリケ王子の人物像としては、その辿った足跡が果たしてどこまで事実であるのか、後世の創作によるものであるのか、多くの謎がある。
探検事業の動機や目的についても、種々の説が
ある。
テンプル騎士団とかまた調べてみたいキーワードが出てきて止まらなくなりそうなのでまた今度。エンリケ航海王子の生涯もまた興味深いですね。いつかこの方の詳細も取り上げてみたいと思います。
■参考文献①今回のテーマを深掘り
■参考文献②筆者の基本セット
・『ONE PIECE公式漫画アプリ』
ONE PIECE公式漫画アプリ
・教科書、用語集、人物辞典他
■あとがき
今回は船がテーマでした。ワンピースは登場人物以外にも装備や国そのものも学びのヒントが多いですね。
ご覧いただきありがとうございました!
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