この連載は無料公開されている『ONE PIECE公式漫画アプリ』から中学校社会科の歴史、高校世界史や日本史への興味・関心を引き出していくプロジェクトです。今回は第5話からゾロの三刀流から鈴鹿御前、そして坂上田村麻呂ついて興味を広げます。
■歴史に残る三刀流の使い手は意外にも"くいな"のような女流剣士⁉︎
第5話で銃口を向けられ絶体絶命の危機に陥るゾロとコビーですが、モーガンによる射殺命令が出たその瞬間ルフィが身を挺して二人を護ります。そしてルフィとゾロのこの会話です。
「ほら!お前の宝物どれだ?わからねェから3本持ってきちゃった」
「三本ともおれのさ・・・おれは三刀流なんでね・・・」
この三刀流、歴史的に刀を3本用いた人物がいるか調べたところ日本史絡みでこんな方がいらっしゃいました。
Wikipediaにはこうあります。
鈴鹿御前(すずかごぜん)は、伊勢国と近江国の境にある鈴鹿山(鈴鹿峠とその周辺の山地)に住んでいたという伝承上の女性。女神・天女とされ、鈴鹿姫・鈴鹿大明神・鈴鹿権現・鈴鹿神女とも記されている。文献によっては立烏帽子(たてえぼし)の名前でも記され、女盗賊・鬼・天の魔焰(第六天魔王もしくは第四天魔王の娘)とされる。その正体は伝承や文献により様々である。
鈴鹿御前 - Wikipedia
実在というよりは伝承上の人物ですね。
かなり長い説明が続くのですが、三刀流に関する説明で以下があります。
鈴鹿山中にある金銀で飾られた御殿に住む、16~18歳の美貌の天人とされる。十二単に袴を踏みしだく優美な女房姿だが、田村の将軍俊宗が剣を投げるや少しもあわてず、立烏帽子を目深に被り鎧を着けた姿に変化し、厳物造りの太刀をぬいて投げ合わせる武勇の持ち主である。俊宗を相手に剣合わせして一歩も引かず、御所を守る十万余騎の官兵に誰何もさせずに通り抜ける神通力、さらには大とうれん・しょうとうれん・けんみょうれんの三振りの宝剣を操り、「あくじのたか丸」や「大たけ」の討伐でも俊宗を導くなど、田村将軍をしのぐ存在感を示す[注 6]。
なんか凄いですね。
鈴鹿御前の能力もすごいですが、この伝承を考えた当時の日本人の想像力が豊かですよね。「十万余騎の官兵に誰何もさせずに通り抜ける神通力」って正に覇王色の覇気みたいですね。
この三つの剣については「三明の剣」とも呼ばれ、個別にページが設けられています。
三明の剣 - Wikipedia
■鈴鹿御前の夫のモデルは日本史の重要人物「坂上田村麻呂」
さて、歴史的にも受験的にも重要なのはここからです。引き続き鈴鹿御前の夫の説明としてこうあります、
室町時代以降の伝承はそのほとんどが田村語り並びに坂上田村麻呂伝説と深く関連し、坂上田村麻呂ないし彼をモデルとした伝承上の人物・坂上田村丸と夫婦となって娘の小りんにも恵まれる。
そうです。なんと三刀流の使い手鈴鹿御前のご主人のモデルが坂上田村麻呂につながるのです。中学歴史にも登場する有名人ですね。
Wikipediaにはこうあります。
坂上 田村麻呂(さかのうえ の たむらまろ)は、平安時代の公卿、武官。名は田村麿とも書く。(省略)
4代の天皇に仕えて忠臣として名高く、桓武天皇の軍事と造作を支えた一人であり、二度にわたり征夷大将軍を勤めて蝦夷征討に功績を残した。
坂上田村麻呂 - Wikipedia
ちょうど桓武天皇が在位した781〜806年の間に坂上田村麻呂を征夷大将軍として派遣して、先代の光仁天皇在時に伊治 呰麻呂(これはり/これはる の あざまろ、生没年不詳)が陥れた多賀城奪還やさらに北方の志波城や米代川流域まで律令国家の支配下に治めたようです。
■清水寺を建立した坂上田村麻呂
こちらはあくまで豆知識です。筆者が学生の頃、修学旅行といえば京都、そして清水寺でした。その清水寺を建立したのが坂上田村麻呂だったのですね。
田村麻呂は「清水の舞台」で有名な京都府京都市東山区にある清水寺を建立した事でも有名である[59]。建立の由来を述べる縁起類にも異本が多くあり、内容は必ずしも同一ではない[59]。建立の時期について宝亀11年(780年)とするもの、延暦17年(798年)とするものに大別される[59]。
興味の展開は以上ですが、当時はなぜ蝦夷は律令国家と争っていたのでしょうね。蝦夷の人々の言葉は異なっていたのでしょうか?蝦夷も多賀城を攻めたりと、どこまで進行しようとしていたのでしょうね。当時も東北はさぞかし寒かったでしょうが、坂上田村麻呂軍は京の都から向かってどう移動してどう戦ったのでしょうね。興味は尽きません。
■参考文献①今回のテーマを深掘り
■参考文献②筆者の基本セット
・『ONE PIECE公式漫画アプリ』
・教科書、用語集、人物辞典他
■あとがき
筆者は大学受験は世界史Bだったので、改めて日本史に興味を広げてみると面白いですね。
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